†                            

■■back■■

資料編纂室─分室4(“諸々”の項目)


■■とらんぶ譚■■
中井英夫氏没後10年、「虚無への供物」初版刊行40周年を記念して、
「永遠の薔薇─中井英夫へのオマージュ展」が高輪の画廊ギャラリーオキュルスと古書店 啓佑堂にて開催されました。
来場者も予想を遙かに超えた 数になり、中井英夫氏人気未だ衰えずというか、益々若い年代に盛り上がっていくようです。
主人も新作1点を含め10点の作品を出品させていただいたわけですが、

資料編纂室の棚から、当時の「とらんぷ譚」の挿画が発掘されました。
展覧会には出品しなかった幾つかの挿画を載せておくことにしましょう。
記録に因りますと、197年に表参道の今はもう無くなってしまったギャラリー悦にて、「とらんぷ譚」と題して、
雑誌「太陽」での連載時のイラストレーション、単行本化した時の挿画などを一同に並べた展覧会があつたそうです。
どれだけの数の作品が並んだのか記録がありませんが、想像しただけでもかなりの数だつた筈、
奇跡的に残っていた物が今回出品された訳ですね。

まだ若い方には中井英夫が新鮮な魅力として読まれるのかも知れませんが、
当時は澁澤龍彦を初め、中井を読まない文学なんて「ナンセンス!」の一言だったと主人は申してます。
幸運なことに主人のデビューの契機として、中井氏との仕事が始まったことは、ここ五月商会にとって実に象徴的に思えます。
主人から伺いますと、中井氏を中心とした磁場、引力圏が新宿2丁目に渦巻いていて、
そこでの様々なエピソードは語るも嬉し、恥ずかしいものだそうで・・・。
いずれ細かく主人より聞き出して、ここに公開致しましょう。
今回の展覧会に出品している作家さんたちの中でも、
中井氏を直に見知っている方はそう多くはないようで、
250名を超えた人数のオープニングの時にも、主人に中井氏の人となりを尋ねる方もいらしたとか・・・。
当然わたくしとてお会いするはずもなく、写真から想像するばかりです。
これからも講談社から文庫の「虚無への供物」の新装版が出されたり、
もう絶版になっている「幻想博物館」なども新装する話が出始めているようです。
わたくしも未読の物を含め、じっくりと読んでみようと思っています。
(資料編纂係 記)04年3/17

   

■■LIBRO通信■■

先日、主人の友人である本多正一氏(中井英夫氏の助手)からこんなものを頂きました。
パルコブックセンターLOGOSの宣伝用のパンフレットで“LIBRO通信”とあります。

その表紙に 、澁澤龍彦氏の書斎の写真が使われています。
本棚に並べられた書籍の前に四谷シモン氏の
人形と一緒に見たことのある絵が置かれています。
そうです、これは主人が澁澤さんの追悼展の時に描いた肖像画です。
時々雑誌に紹介される書斎風景ですが、主人の絵はなかったり、
在っても小さいので見分けがつかなかったりでした。
今回のものははっきりとわかります。


資料編纂係のわたくし、澁澤さんを読んでいたからここ五月商会に入り込めたようなもの、
こうして主人の絵があの鎌倉の澁澤邸に存在していることを考えると、
人ごととは思えず、ついウキウキとした気分になってしまいしまいます。
書記さんからも先日の主人の 、“幻想画はいかにして・・・”の公開講座の様子を伺いましたが、
やっぱり主人にとって、澁澤龍彦さんの存在は大きかったことがよく解ったと仰っていたし、
何だかいい加減なことしかやっていない主人だと思っていましたが、
それなりに評価されているところも在るようで、
五月商会でのわたくしの 苦しい労働も、何かの折りに報われるのかなぁーと
とらぬタヌキの皮算用をしています。
今、澁澤さんの本の読者は中、高校生だと訊きますが、
本当に解って読んでいるのでしょうか ?
わたくしとて、そういわれ続けていた訳ですが、
主人や書記さんの歳から考えれば、十把一絡げ、同じようなものですわね。
でも澁澤さんしかり、中井さんしかり、日影さんがそれに続いて、
徹底的な全集、それこそプライベートなこと以外すべてが公になって、
研究者にとってはありがたいことでしょうが、
何だか出版社のうらんかなが窺えるようで、どうなのでしょう?
主人とて、規模は大いに違いますが、今やっている展覧会は旧作がほとんどな訳で、
新作をもう少し出しても良いはずですよね。
別に遊んでいたとは言いませんが、
「もう少し良く、もう少し良いものを・・・」と切実に考えているのなら、
少し違った見せ方も出来るのではないでしょうか。
資料編纂室に閉じこもっているわたくしがツベコベ言っても始まりませんが、
ここを一つの分岐点として、主人には精進して頂きたいわ。
( 資料編纂係 記)09/03





■■ 季刊《幻想文学》■■

雑誌季刊《幻想文学が創刊されたのが、奥付を見てみますと
1982年4月10日とあります。
20年を経過したことになります。
わたくしには当時はどのような時代状況だったのかは想像するしかないのですが、
表紙の裏広告を見てみますと、工作舎の荒俣宏著「理科系の文学誌」です。あの名著です。
また本文中にペヨトル工房の雑誌「夜想」6号 のアルトー特集の広告。
現在のわたくしでもワクワクしてしまう広告です。
「幻想文学」の母胎になったのが、幻想文学同人誌「金羊毛」で、
早稲田大学の同人が中心だつたようです。
現在「幻想文学」は65号を数えます。
20年で65号、他に「小説幻妖」という小説の専門誌の発行、
「別冊幻想文学」の発行、「幻想文学新人賞」の起ち上げ、単行本の発行、
そのほとんどを編集長東雅夫氏、発行人川島徳絵氏のお二人でされていたというのは驚嘆でございます。
創刊される時に主人に依頼があった訳ですが、ここまで長いつき合いだったのですねぇー。
雑誌の整理をしている最中に、書記さんからビックリするニュースがもたらされました。
「幻想文学があと2号で終刊になるそうです!」と。
今整理していた雑誌が終わってしまうというのも、何か因縁を感じてしまいます。
倉庫の棚に並べた雑誌をまた取りだして、しみじみと眺めてしまいました。
ここに幾つかを紹介しておきましょう。

主人が担当したものだけですが、65号のうち36冊の表紙を担当させて頂いたことになります。
2003年の終刊まであと2号あるのですが、それも主人担当となるそうで、
67号のうち38冊という計算です。
ここには適当に並べてみましたが、これを見るだけでも主人の仕事の流れが窺えて興味深いです。
創刊号の鉛筆の解剖学的なイメージ、同じ鉛筆画でも特色指定のもの、
油彩とテムペラの混合技法、コラージュオブジェ、
技法の変化がそのまま「幻想文学」の表紙に繋がっているというのも、なかなか珍しいことではないでしょうか。

こうして見てみると、主人の関心のあるテーマは、そのまま「幻想文学」のテーマだったとも言えそうですし、
「幻想文学」がつづいた20年は 、主人にとって実に幸せな蜜月だったのではないでしょうか。
その間、澁澤龍彦氏が亡くなり、中井英夫氏が続き、日影さん、矢川さん、高橋康也さんと
敬愛してやまない方々の訃報がもたらされました。
まさに「幻想文学」はひとつの時代そのものだったといわざるを得ません。
東、川島の両氏には感謝してもしきれないことですが、
両氏ともに多忙を極め、これからさらに、あらゆる意味に置いて幻想文学に寄与されることと思われます。
わたくしも傍らより応援させて頂きます。
(資料編纂係 記)01/06


■■黄金虫(SCARABAEUS)■■
主人に聞きますところ、1986年 その名も“日本暗号協会と冠した、何とも不思議な会が存在していたそうです。
 
つまるところ 、暗号を作成したり、暗号を解読したりするグループだそうですが、
会長に長田順行氏、事務局長に田中敏郎氏、そして主人がアートディレクションを担当したと言うことです。
発会するまでいろいろと大変だったそうですが、田中氏の類い希なる遊び心と執念によって成り立っていた訳です。
毎月“暗号通信”が送られてきて、偶数月に機関誌“黄金虫”が届くという、なにやら秘密めいた香りが漂ってきそうですが、
会員が必死になって暗号解読に勤しんでいる姿というのも 、ナンセンスなようで実に美しい光景に思えます。
ここでは機関誌“黄金虫”の中で、主人が「黄金虫の定理」と題して、絵による暗号を出題していたものを紹介いたします。
暗号を解かれた方はメールにてご一報を。

“暗号通信”も“ 黄金虫”も延々と続くと考えていたのが、会員数300強からなかなか増員せず、
“黄金虫”は6号をもって終刊となってしまったそうです。
1980年代はまだ、何かとんでもないことをどうにかして面白くしようという熱があったのだ、と
我々醒めてしまった若者には、想像するしかありませんが、
わたくしの感想を言わせていただければ、 今の時代にこういうものがあっても、結構面白がる人は多いのじゃないのかしら。
しかし、これを倉庫から引っ張り出すのって、本当に大変なんですのよ。


 ●黄金虫の定理 ?

 ●黄金虫の定理 ?

 ●黄金虫の定理 番外

 ●黄金虫の定理 ?

 ●黄金虫の定理 ?

 ●黄金虫の定理 ?


田中氏とのつきあいも30年を数えるそうです。元々は“薔薇土”で中井英夫氏に紹介されたのですが、
銀座永井画廊がまだお店を出す前の六本木の事務所時代からで、最初の個展の時から面倒を見て頂いていたそうです。
新宿ゴールデン街をはしごするだけでなく、暗号関係だけでもいろいろとご一緒に仕事をされたそうです。
世界の奇書となった「秘文字」(社会思想社)、「ワンダー暗号ランド」(講談社文庫)
田中氏の文章、主人の挿画による「不思議の森の裁判」(河出書房新社)、他にも熊本県の暗号キャンペーンとかいろいろあるようです。
またお二人で何か面白いことを企画してくれないかしらと願っています。
(資料編纂係 記 )●9/09

†WORKS
NEWS

画廊逍遥
書物の衣裳
刊行物
カルチャーの時間
資料編纂係┤

†PRIVATES
徒然なる日々
驚異の部屋
Jean&Tonio
庭を巡る日々
LINK
郵便係シュヴァル

About Site
Contents