驚異の部屋─別室“影の片隅”(04年3/06更新)

 ここ五月商会の主人の仕事場(アトリエ)と居間とを、
曇りガラスのスクリーンが区切っているのでございますが、
そのスクリーンに格子状に組まれた木枠に様々なオブジェが置かれております。
アトリエは南に面しておりますので、日中は光が満ちてとても明るいのでございます。
画家のアトリエは北向きと相場は決まっておりますが、
主人の仕事からすると、モチーフをセットしてそれを描くと言うことがほとんどありませんので、
居心地の良いように明るいのでございます。
偶々ルーペを木枠に置いたところ、
居間側からアトリエの様子が天地逆転して映し出されたのでございます。
主人は幼少の頃、
雨戸の節穴から入った光が曇りガラスに映し出されるのを発見して、大感激したと聞いております。
大きなカメラ・オブスキュラというわけです。
今ではこのアトリエが大きな暗箱となって、外の木々までスクリーンに映し出しているのでございます。
わたくしが憂鬱な午後を、居間のソファーに沈み込んで過ごし、
ボォーとこの曇りガラスを眺めていますと、
そこに映し出される影達が不思議な物語を演じ始めるように思われてくるのでございました。
“驚異の部屋”の別室としてご紹介致しましょう。
“徒然なる日々”でも幾つかを載せましたが、まとめてご覧下さい。

(書記兼蒐集物記録係兼影の狩人  記)

 

お手紙が届きました
ご苦労。どこからだろうか? これはまた不思議な物体
お化け煙突か?バベルの塔か?
あたくしお散歩中ですの 遠くに葡萄の房の樹が見えますわ
入り口にして出口、内部であって外部 しかし、ここは逆しまの世界 輪遊びは遠近法を夕日に向かって 歪める
ここはどこなの? ここは暗箱の中、影のみが動く薄板界 僕たちは決して帰ってこない主人を、遠吠えで迎える
忘れ去られたもの、記憶に・・・ 溶ける魚が充ちる 寺院の鐘が半月刀を真似る
鐘に向かって黙想する、二人並んで 向こう側から光が・・・ 静かな時が流れる
私にも流れる 旅人もまたこの時の中を行く 待ち続ける
墜ちてくる、我々に これは・・・あの・・・ 霧が我々の目眩まし、窓の向こうにも
(04年1/13)
冬の落日、絡む翼 浮かぶ鍵、レンズが焦点を合わせる 山の稜線にも影は浮かぶ
目指せ、遙かな砂漠の果てから 街の狭間にもその前兆が 双子の兄弟もまた、その時を待つ
(1/14)
街もまた不安に打ち震える これは不安ではない ポットは未だに空のままだ
人々の不安が新しい像を結ぶ 塀から落ちる一瞬、彼は見たのか 街路樹さえ群れなければ、震えてしまうのだ
どこから逃げ出したのか、雄叫びが響く 彼らの不安は銃を構える その無惨な死は、静かに形を変える
(3/06)→つづく

 

 

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